Product introduction: Slurry Analytical System

スラリー解析システム
Slurry Analytical System

リチウムイオン電池の電極スラリー開発に

スラリーの混ざり具合を手軽に推定

Slurry Analytical System は、
スラリーの電子伝導性を解析し
内部状態を推定できるシステムです。

システム概要

スラリー解析システムとは

LIB電極スラリーのインピーダンス計測値を、HIOKI独自のアルゴリズムで解析し、電子電導性を示す「DCR」「Rratio」「Uniformity」を出力する解析サービスです。
これら3つの指標によりスラリーの混ざり具合を推定できます。

実験・検証計画や利用頻度など、必要に応じ手軽に利用いただけます。

基本的な使い方

お客様は、スラリーのインピーダンスを計測するだけ。
クラウド上の解析ソフトウェアが、最適なアルゴリズムで解析します。

1.計測環境を用意する

スラリーのインピーダンスを計測するための計測機器をご用意ください。
推奨計測機器は、以下のとおりです。

LCRメータ IM3536またはIM3536-01(測定ソフトウェア SA2633を無償提供)
テストフィクスチャ SA9002
電極セル SA9001
・テストフィクスチャ SA9002は、SA9001専用のテストフィクスチャで、SA9001がワンタッチ着脱できます。
・電極セル SA9001は50個単位での販売となります。

※IM3536(-01)以外を使用する場合

・電極セル(SA9001)を利用してください。解析アルゴリズムはSA9001使用を前提としています。
・テストフィクスチャSA9002は、接続可否をご確認ください。
・下記測定条件でデータ取得してください。
・送信用(CSV:指定フォーマット)ファイルを準備してください。

測定条件

・周波数掃引範囲:4Hz(+3Hz)~10MHz(-5MHz)
・測定点数:対数間隔 500点(±10点)
・印加信号:定電圧±100mV
・測定項目:周波数、Rs(ReZ)、X(ImZ)

2.計測をする

LCRメータ IM3536かIM3536-01と専用の測定ソフトウェアSA2633を使用し、インピーダンスの計測をします。計測データ(CSVファイル)が自動生成されます

3.ライセンスカードを購入する

・解析ソフトウェアは、アカウント作成(無料)以降利用できます。
・解析ソフトウェアの解析機能の利用には、ライセンスカードのご購入が必要です。(登録コードの登録)
・ライセンスカードには、解析ソフトウェアのURL、利用期間、登録コードが記載されています。
・利用期間は、登録後の初回ログイン時から開始(追加)されます。
・ライセンスカードの登録有効期限は、ライセンスカードに記載されています。
・解析ソフトウェアのご利用にあたっては利用規約、プライバシーポリシーへの同意が必要となります。

4.データを送信し、解析値を取得

測定ソフトウェアからクラウド上の解析ソフトウェアにアクセスします。解析ソフトウェアにて計測データと材料カテゴリーを選択すると、解析開始します。難しい設定などをせずに、解析値が取得できます。

対応可能な材料カテゴリー

活物質LCO、NMC、NCA、LMO、LFP、天然黒鉛、人造黒鉛、LTO、Si、SiO、無
導電助剤アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、無
バインダーPVDF、SBR、ポリイミド、無
分散剤CMC、MC、PVP、無
溶媒NMP、水

*材料カテゴリーの組み合わせにより、適切な解析アルゴリズムで解析します。
*選択できない組み合わせ、材料カテゴリーが存在しない場合もあります。その場合は、デフォルトモデルで解析いただけます。
*構成比情報は不要です。
*解析不可の場合もあります。

材料カテゴリーは、順次追加していきます。

・公知の情報に関わる場合は、迅速に対応を検討します。
・公知でない情報、非公開情報としての取扱いをご希望の場合は、個別対応を検討します。(別途費用)
・スタンドアロンアプリ(非web・解析アルゴリズムの限定)の提供につきましても、個別対応を検討します。(別途費用)

ご利用にあたっては利用規約・プライバシーポリシーへの同意が必要となります。

解析原理

スラリー解析システムは、スラリーの導電特性を相対評価できるDCR、Rratio、Uniformityの3 つの定量指標をアウトプットします。

スラリーに交流電流を流したときの
・電流の流れ方
・電子の動き方
に対応する電気等価回路(EEC)を構築します。

インピーダンス計測値をEECにフィッティングし、EEC中の各パラメーターを取得します。各パラメーターから、解析値として「DCR」「Rratio」「Uniformity」をアウトプットします。

アウトプットされた解析値からスラリーの混ざり具合を推定することができます。

解析・考察事例

事例1:混錬時間違いによる差異を解析する

適切な混錬時間を考察する目的で、混錬時間の違う3水準(各3サンプル)を準備し、解析しました。

1.材料の混合割合
活物質 95%、導電助剤 2.5%、バインダー2.5%

2.材料の練り込み
NMPを加えて固形分濃度を70%に調整した後、それぞれのサンプルを1、3、6分混練します。

3.粘度の調整
NMPを添加して固形分濃度を60%に調整した後、攪拌します。

解析結果

DCR

混錬時間3分の水準が、低いDCRを示しました。

Rratio

混錬時間3分の水準が、高いRratioを示しました。

Uniformity

混錬時間3分の水準が、高いUniformityを示しました。

混錬時間3分の水準が、理想的な導電パスを形成したスラリーと判断しました。

事例2:導電助剤量の違いを解析する

導電助剤量の違う3水準(各3サンプル)比較で、理想的な導電パスが形成される添加量を考察しました。

1.材料の混合割合
活物質 18g、導電助剤0.25g、0.5g、0.75g、バインダー0.5g

2.材料の練り込み
NMPを添加して固形分濃度を70%に調整し、9分間の混練を行います。

3.粘度の調整
NMPを添加して固形分濃度を50%に調整した後、6分間攪拌します。

解析結果

DCR

添加量を増やすに伴い、全体抵抗の低下がみえます。

Rratio

添加量増に伴い、導電助剤由来の抵抗成分の比率もあがっていることがみえます。

Uniformity

助剤0.75gの水準は、0.5gの水準に対し、低い均一性を示しています。

混錬時間9分の条件では、添加量0.5gの水準が、最も理想的な導電パスを形成したスラリーと判断しました。

さらに・・・
スラリーの電子伝導性と電極シートでの抵抗特性の関連性

Slurry

導電助剤料比率が増えると
・Ratioが上がりました。
・DCRが下がりました。

さらに、電極抵抗測定システムRM2610を使用して、電極シートの抵抗特性を計測・解析しました。

Sheet

合材層抵抗、界面抵抗ともに下がりました。

スラリーの電子伝導性が、電極シートの抵抗特性に引き継がれていることが分かりました。
塗工工程が良好であったと考えられます。

信越化学工業株式会社様ご提供

事例3:分散剤量違いによる電子伝導性と動的粘弾性の関連性を解析する

1.固形分比率
活物質 96%、導電助剤 2%、バインダー 2%、分散剤: 0.08~0.16%(4 ~ 8%vs導電助剤量)

2.導電助剤スラリー調製
導電助剤、分散剤、NMPのみで導電助剤スラリーを作製しました。

3.電極スラリー調製
活物質、バインダー溶液を加え、電極スラリーを作製しました。

解析結果

電子伝導性

動的粘弾性

・分散剤 添加4% → 5% vs 導電助剤量
Rratioは急激に上昇し、G’とG’’の差は縮まりました。
分散剤の添加によって導電助剤の凝集体が解消するとともに、形成した導電助剤ネットワーク構造が導電パスとして機能していることが示唆されました。

・分散剤 添加5% → 8 % vs 導電助剤量
さらに分散剤の添加量を増やしていくと、スラリーのG”が優位となるため、流動性が向上し塗工性を調整できますが、Rratioは低下するため、導電助剤ネットワークの微細化が進行する一方で、切断も起きていることが推測されます。

株式会社ダイネンマテリアル様ご提供

事例4:電池プロセスと電池特性の関連性を解析する(進行中)

Process1 「水準1」

1.導電助剤スラリー作製
導電助剤とバインダーの粉体混合後、溶媒添加でスラリー化

2.活物質追加で固練り
導電助剤スラリーに活物質を追加し、混錬(固形分濃度77%)

3.粘度調整
溶媒を追加し塗工可能な粘度に調整(固形分濃度75%)

Process2 「水準2」

1.全ての部材を粉体混合活
物質、導電助剤、バインダーを粉体混合

2.溶媒添加、固練り
固形分濃度77%にて固練り

3.溶媒添加、粘度調整
溶媒を追加し塗工可能な粘度に調整(固形分濃度75%)

解析結果【スラリープロセス評価】

・インピーダンス解析(粘度調整後60分間連続モニタリング)

DCR

Rratio-Uniformity(X-Y)

・レオロジー(粘度調整直後解析)

フロー

周波数依存性

歪み依存性

解析結果【電極シート評価】

・SEM観察

・電極抵抗

合材層抵抗率

合材層と集電体の界面抵抗

測定電位のバラつき(変動係数)[%]

この電極シートをセル化し、電池特性評価を進めています。電池特性と各プロセス評価指標の関連性について、知見を深めてまいります。

概算費用

解析のご利用を含め、お客様とセンシティブな情報を共有させていただくため、ご購入に際して販売店の介在につきましては、お客様でご判断していただきますようお願いいたします。

計測機器は、あらかじめご準備(ご購入)ください。

LCRメータ詳細金額(税別)
IM3536測定周波数 4 Hz ~ 8 MHz
※測定ソフトウェアSA2633は、ダウンロードにて無償提供
458,000円(予定価格)
IM3536-01測定周波数 4 Hz ~ 10 MHzの特注品
※測定ソフトウェアSA2633は、ダウンロードにて無償提供
※インピーダンス計測値は、広域周波数帯が望ましいため、ご予算見合いでご判断ください。
850,000円(予定価格)
テストフィクスチャ詳細金額
SA9002
※6月1日リリース予定
※HIOKI Online Store 取扱い
SA9001専用テストフィクスチャ350,000円(予定価格)

※LCRメータとテストフィクスチャは短期有料レンタルのご紹介も可能です。詳しくはお問い合わせください。

電極セル・ライセンスは、ご利用頻度・実験計画に応じご購入ください。

電極セル詳細金額
SA9001
※6月1日リリース予定
※HIOKI Online Store 取扱い
50個単位25,000円(予定価格)
ライセンスカード詳細金額
SA2631-03
※6月1日リリース予定
※HIOKI Online Store 取扱い
ご利用期間 30日間(連続)
※解析件数の制限はありません
150,000円(予定価格)

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